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農家の戯言3
| 迷い鳩 | たらの芽をパック詰めしていたら、なにやら視線を感じます・・・ 「ん? 鳩(はと)!」 ガラス戸のあちらから、こっちの方を首をかしげながら、鳩が様子を伺っています。 私たちがいましたのは、作業小屋の中をしきった部屋でしたので、すでに鳩は小屋の中に入ってきていたのです。
当時、鶏インフルエンザが流行っていましたので、たらの芽を扱っているこの小屋に入ってきてもらっては困ると追い出しにかかりました。 でも、いくら外に追い出しても、追い出しても中に又入ってきます。
「おっ!これは、脚輪をはめちゅうよ。(はめてるよ)おまえは、伝書鳩か。鳩舎にこの小屋が似ていてなつかしくて入ってきたんやろう。」 とおじいちゃん。 だとしたら、なんとも失礼な話ですよね。^^;
その日は小屋の外に追い出して家にかえりました。が、翌朝きてみると、なんと隣の小屋にいるではありませんか。追い出した時に隣の小屋に入ったらしく、それを知らずに閉じこめたのです。 うちの小屋が気に入ったのか いっこうに出ていく気配なし。 そうしているうちにおじいちゃんは鳩を捕まえて餌をやっています。(うわぁ、飼う気だ) 脚輪に番号があるのでネットで調べればなにか分かるかもと思い検索してみると・・・
やはり迷い鳩でした。 毎年春と秋に伝書鳩レースが行われるそうです。 年間に160万羽の鳩が参加するらしいのですが、そのうち60万羽近くが帰巣できずに迷い鳩になるそうです。 迷い鳩になったもの達は、公園や神社に住み着いて生き延びますが、近年それが問題化してしているようです。 鳩には帰巣本能がありますが、今日電磁波などの影響で伝書鳩が行く方向を見失って迷うことが多いともでていました。 そうです、近くの山に携帯の電波塔があるんですよね。(私も加害者か)
ネットにあった協会に電話して番号から飼い主を教えてもらいました。 広島から鹿児島に飛ぶレースだったようです。 「ありがとうございます。日通に電話して鳩を送り返してもらえますか。着払いで届く仕組みになっていますので。」との事。
ペリカン(日本通運)が鳩を運ぶのか・・・へんに納得している自分がおかしかったりします。 電話をいれると、専用の箱をもった日通さんがやってきました。 お代は着払いで飼い主が2000円を負担するそうです。こりゃあ、飼い主もたいへんだぁ。 迷い鳩は優秀な鳩でもないだろうし、たくさん連絡があればうれしいような悲しいような・・でしょうね。 そういや、飼い主の方が電話でえらく淡々としていた訳です。
それにしても、おじいちゃんがなんだか寂しそうでした。
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| 巣立ちの日 | まだ梅雨も明けきらない7月のとある日、お隣の香北町(アンパンマンミュージアムのある町)で、たらの芽の苗床の草を皆で引いていました。
この時期の草の成長はすさまじいものがあります。引いても、引いてもたくましく生えてくる雑草ともくもくと闘っていると・・・なにやら上空から悲愴な鳥の鳴き声が聞こえてきます。 この苗床は神社の隣にあるのですが、その神社には幹の周囲が5.6 メートルくらいはあろうかという大きな杉があります。 かなりの古木なのですが、雷にでもうたれたのでしょうか、頭頂部が無残にも折れています。その折れたてっぺんの部分がうろになっているらしく、声はそこから聞こえてきます。
なんの鳥だろう? と目を凝らしてみると、ほとんど成鳥と変わらない風貌のとんびが、大きく伸びをしてけたたましい声で叫んでいます。 「え?とんび?いったいどうしたが?・・・えっ!ひょっとして巣立ちやったりしてね。」と皆であたりを見渡すと・・・ いました、いました。少し離れたところに親鳥が旋回しています。
なかなか飛び立とうとしない我が子に手本を示すかのように優雅な飛び方を見せています。子どもの泣き叫ぶ声にまるで諭すかのような大人の鳴き声で答えています。 「それ、行け〜!!」 「大丈夫、大丈夫、飛べ〜!!」 と、かなり賑やかな声援を送っているのに、いつまでたっても尻込みをしています。 「ま、帰る頃までには巣立ってね。」 と仕事に戻ろうとすると、 バサバサバッサ。
やりました!飛びました!下界からの思いっきりでっかい声援に見送られつつ、なんとも危なげな初飛行が始まりました。 風をうまくとらえる事ができず、はばたきながらの不安定なよたよたとした飛び方です。 そこへ、たどたどしい飛行を見ていたつばめが意地悪をしかけてじゃまに入りました。 行く手を邪魔されてバランスを崩し、あわや墜落か・・・と思いきや、なんとかやりすごしました。
今度は、極度の緊張に疲れたのか古巣に戻ってこようとしています。羽をすぼめて着陸態勢に入りました。あぁ、本能ですね。ちゃんと必要な事はインプットされています。墜落同然に巣につっこみ、休んでいます。まずは一安心。 ハラハラドキドキの初飛行はかなりおもしろかったらしく、はや2度目に挑戦です。こんどこそ、シャッターチャンス。 カシャ!(上の写真)
得意気に何度も何度も飛行練習を繰り返すうちに風のとらえ方も上手になってきました。 その間もずっと親鳥はかなり高い所を旋回しつつ見守っていました。 まだ、狩りをする余裕はきっとないでしょう。この子が巣を離れるまで、自分と同じくらいになった子どもの為にまだまだ親鳥は餌を運ぶのでしょうね。 親も子も大きな事をなしえました。 「手を離せ、目を離すな」を生で教えられた気がしました。 風をうまくとらえ、上昇気流に乗って上へ上へ孤をかきながら滑空する日も、そう遠くないことでしょう。 近い将来の自分の子ども達の巣立ちと重ね合わしつつ、その現場に立ち会うことができた事に感謝!!
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